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    <title>812番書庫</title>
    <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com</link>
    <description>812番書庫・小説更新情報</description>
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    <copyright>Copyright ©2026 入山夜鷸.</copyright>
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      <title> - 晩冬は列車に乗って。</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2505/section/36284</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:39:00 +0900</pubDate>
      <description>きさらぎ駅への行き方。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　春は馬車に乗つて。ならば、晩冬は列車に乗って。

　故郷は遠く肌寒い場所に在る。といえば、いくらか文学的で聞こえは良い。しかし、実際の旅路の長いこと長いこと。乗り間違えたら一貫の終わりだ。私の乗る列車はいつも同じ番号が書いてあるので、それを頼りに乗り込む。夜七時に出る一本、これを逃すともう帰れない。
　発車するまでと発車後しばらくは、ひとり窓の外を見てソワソワするのがお決まりになっている。なんせ故郷へ舵が切られるまでは、他の列車と同じ線路を走るから、ずっと手前の駅が終点になりやしないかが心配なのだ。
　
　列車はガッタン、ゴットンと動き出し、次第にカタンカタン、と小気味良い走りに変わる。せっかくのボックス席であるのに、いつもひとりなのが惜しい。いくつ駅に停まろうと空いているので、相席を望む客も無い。眠くもならない旅路を埋めてくれるのは、窓外の闇と、その闇の中に故郷と似た田園があるというこ...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title> - ドッペルゲンガー</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2504/section/36283</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:39:00 +0900</pubDate>
      <description>ドッペルゲンガーの葬り方。
珍しく現代が舞台の話。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　朝の田舎は、夕焼けのような寂しいオレンジ色。僕は山側の席に座って、向かいの窓から海を眺めるのが日課だ。今の仕事は稼ぎこそ少ないが、灰色の都会よりもずっと優しいと思う。
　そんな安穏も、今日は先客のせいで霞んでいた。先客は海を眺める僕の真向かいに座って──しかも、この車両はガラ空きなのだ──妙に見覚えのある顔でニコニコ笑って。そうして悪意の無さそうな笑顔がだんだんと迫って来たかと思えば、先客、彼は唐突に僕の手を両の手で包んだ。包んで、
「──！」
　と言葉を発した。その後は刃物を出すでも硫酸をかけるでもなく、ずっとニコニコしていた。
　彼は随分と大きな荷物を持っていた。胴が隠せるくらい大きなリュックサックを、えっちらおっちら運んで、僕の隣に腰を下ろした。彼はリュックの中を探りながら、先程と同じ、訳の分からない言葉でペラペラ話し始めた。時々、木彫りの置物なんかを取り出しては僕の手に持たせては...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - まつごの花</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2503/section/36282</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:38:00 +0900</pubDate>
      <description>花と弔い。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　夢を見ているようだった。白葡萄の蔓にも似た、涼やかな匂いの部屋に私は居た。それは春の午前のように、青白く眩い部屋でもあった。
　私はその部屋で真っ白なテーブルを見ていた。明らかな私の目で見ているにも関わらず、誰かが見ている景色を追体験している、そんな気分だった。

　どうぞ、と言われるように、テーブルに皿が置かれた。飽きるほど白い皿には、やや大きな花弁が、さも食べ物であるかのように盛られていた。
　何の花弁だろうか。ひとひらずつに解体された赤い花弁は、枯れてもいないのに色褪せて見えた。
　皿にはカトラリまでついてきた。ということは、これを食べよという夢なのだろう。けれど私は無性に、皿の花が何であるかが気になってしようが無かった。銀の冷たいカトラリを手に取って、花弁を寄せ集め、思いつく限りの花を作ることにした。
　
　まずは花びらで渦を作るように。時々カトラリが皿を引っ掻いて、無様な音を出...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - ツチノコの話</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2502/section/36281</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:38:00 +0900</pubDate>
      <description>ツチノコはなぜツチノコなのか。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　むかし。ある土地に、ミヅチとノヅチという小さな神がいました。ミヅチは人間の田んぼに水を与えて感謝されてからというもの、けちで強欲になりました。一方でノヅチは、ミヅチよりも小さな体で、水の下の土を一生懸命に育てていました。
　ある日、ミヅチはノヅチの持っている鏡を欲しがりました。
「お前のような小さなやつに、こんな鏡もったいない。どれ、おれに寄越してみろ」
　ノヅチは首を縦に振りません。
「いや、いや。これは私が草の神様から賜った、野の神である証拠だ。渡せるものか」
　これを聞いてミヅチは怒り、あっという間に川を氾濫させてしまいました。逃げ惑う人間を助けられるほどの力は、ノヅチにはありません。ノヅチは咄嗟に鏡を飲み込んで、蛇の姿になって逃げました。

　ノヅチは鏡を飲み込んでしまったため、自分が何の神であるかを忘れてしまいました。それでも草に隠れながら、一軒の家に逃げ込みました。
「どなた...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - うつほぶね</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2501/section/36280</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:38:00 +0900</pubDate>
      <description>流星の速度で進む竹取物語。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「ウタキチ、あなた地球ではないの生き物、信じマスか？」
　かつて宇多吉が学生だった頃、恩師からそう尋ねられたことがあった。
「信じます、きっと居ましょう」
「もし、その生き物、『襲う』してきたらどうしマスか？」
「ふうむ。軍隊ならまだしも、よその星へお邪魔するのに襲ってくるでしょうか。そうですね……襲われる前に歌を歌いましょう」
　恩師は目を見開いた。
「ナゼ？　あなたどうして歌う？」
　宇多吉は、もじもじとして答えた。
「僕は、宇宙の言葉を知りません。けれど楽しい旋律くらいは、向こうも心地よいと感じてくれると思って」
　その時の恩師の眼差しを、宇多吉は今でも、春の満月に思い出す。

　あれから十数年の時が経った。宇多吉は学生たちに天文学を教えながら、自分もまた星を追う暮らしをしていた。
　この冬の日はちょうど月食で、宇多吉は一人で空っぽの土手へ来ていた。ガス灯も無い土手に残り少ない月光が...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 歯車と死神</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2500/section/36279</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:38:00 +0900</pubDate>
      <description>くるいくるわせる死神の話。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　私は、価値ある歯車を沈めたことがある。

　それはとある島国でのこと。人間たちは昇りたての満月を見て、獣の瞳だ、不吉だと騒いでいた。
「昇りたての月は皆ああなんだ。不吉なもんか」
　セレストスはこの土地で一番の天文学者であった。私は死神であるから、巫女たちに紛れて彼に近付こうとしていた。時が来たら、蛇にでもなって噛み殺すつもりだった。向こうは私の名どころか、存在も知らなかったはずだ。
　彼は数人の天文学者の集まりに入って、大きな機械仕掛けの何かを作っていた。なんでも、天体の動きを予測することが出来る暦だということだった。この土地でたびたび起こる、星々の逆行や墜落を、当然かつ無害なものとして示す機械だと、彼らは言っていた。
「星も人も、同じ営みをしているように見えて、変わっていくものだ。それを不吉だなんだとのたまうのは、馬鹿のすることだ」
　セレストスの言葉に、私は胸がむずむずした。
　死...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - モコ</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2499/section/36278</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:38:00 +0900</pubDate>
      <description>田舎の怪談。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「泣ァげば山がらモコ来らァネ～……」
　時折、母は故郷の子守歌を、冗談めかして唱えることがあった。
「モコ？」
　私が尋ねると、母はこう答えるのだった。
「モコって、お化けだけど、蒙古って意味だよ」
　彼女の故郷は本州の北の果てであるというに、蒙古というのも不思議な話だ。樺太の蒙古のことにしても距離がある。そして蒙古、つまり人間だと正体が明かされていながら、お化けだと認識されているのも不可解ではないか。
「その続きは？」
「さぁ、知らないけど」
　その日から、母のうろ覚えなメロディが、妙に耳にまとわりつくようになった。

「今年はハァ、猿さ食われでまって、ろォ」
「何がよ？」
「ジャガイモ！」
　夏の帰省というものは、最初こそ非日常にウキウキするものだが、それも長続きはしない。母と祖母の他愛ない話を聞き流しながら、私はふと暇になって、二階へ上がることにした。ほとんど四つん這いになって、古色...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 青</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2498/section/36277</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:37:00 +0900</pubDate>
      <description>垢抜けと青の物語。
珍しく現代を舞台にした話。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　気に入って染めたはずの青いメッシュが、ひと月で嫌になった。

　大学生活が始まって、初めての春が終わろうとしている。すっかり赤茶けたソメイヨシノの枝を見下ろして、僕はパキパキと剥がれた壁にもたれていた。
　ここは旧校舎。事件現場のようにロープが貼ってある、いわば小さな禁足地だ。サークルのために在ったらしい旧美術室は、僕にとって「いかした友人たち」と距離を置くための安息の地でもある。

　髪なんて青くするんじゃなかった。この明るい一本線ほど、僕は尖ることはできないと判りきっていたのに。
　染め直しも考えた。けれど「いかした友人たち」の手前、するに出来なかった。

　いつも僕と向かい合う悪趣味な額縁。骨と桜を模したようなレリーフで、耽美的に飾ったつもりなのだろう。霞んだ静かな絵の具の海が、哀しく押し込められている。
　
　ある日ふと、その額縁の葬式じみた飾りを取ってみたくなった。案外、安っぽ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 笑顔になる薬</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2497/section/36276</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:37:00 +0900</pubDate>
      <description>表情と感情は別物である。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　笑顔になる新薬が開発された。
　早速、悲しみを訴える患者に内服薬として処方された。
「先生、これで本当に悲しみは消えるんですか？」
　疑心暗鬼な患者。医師は、
「もちろん。きちんと飲めばすぐに効くだろう」
と胸を張って答えた。

　患者は一週間の内服により、笑顔になって再び医院にやってきた。
「その様子だと効いているようだ」
　しかし安堵する医師に、にこにこと穏やかそうな顔で患者は言った。
「いえ先生、薬が足りません」
と。
「効いて嬉しいのは分かるが、効いているのに増やすのは駄目だ」
「いいえ、効いている気がしないんです」
　これは依存症の手前かも知れない。医師はそう考えて、この小さな医院に患者を入院させることにした。
「分かった。正しい飲み方で一週間ほど様子を見よう」
「本当ですか。ありがとうございます」

　それから患者は医師と一緒に、決まった時間に決まった量を飲みつつ医院で静かに...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - 記念写真を撮ろう</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/2496/section/36275</link>
      <pubDate>Sat, 27 Sep 2025 23:36:00 +0900</pubDate>
      <description>そうだ、記念写真を撮ろう。僕ら三人で。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　そうだ、記念写真を撮ろう──思い立ったが吉日、僕は三脚を持って二人の友人に会いに行った。何の記念とも言い難いが、時々こうして撮りたくなる。
「よろしい」
「撮ろう」
　二人の友人とは産声を上げた頃からの付き合いと言って差し支えない。気の合う、気持ちの良い｜輩《ともがら》だ。

「じゃあ、撮るぞ──」
　持ってきた三脚を立てようとした時、友人の一人──仮にⅠ君と呼ぼう──がこんなことを言い出した。
「待て。誰が真ん中に映るのか決めようじゃないか」
　もう一人の友人──こちらはＴ君と呼ぼう──が怪訝な顔をする。
「誰だって良いだろうに、どうしてだい」
　Ⅰ君は、知らないのかいと驚きつつ答えた。
「真ん中に映ったやつは魂を抜かれてしまう、と噂で聞いたことは本当に無いかい」
と。
「それ本当かい？」
「本当さ。嘘だと思うならＫ君、きみが真ん中に映れば良い」
　Ⅰ君の言い草に、Ｔ君が再び口を開く。...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>休日 - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/36444</link>
      <pubDate>Fri, 12 Sep 2025 00:36:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[うすのろ列車は田を進む
ディーゼルなどを追い越して
手押し車を追い越して
やんちゃな車に抜かされて

うすのろ列車は町へゆく
私と知らないおばさまと
哀しい迷子の雨傘と
オトナリヨロシイデスカを乗せて

うすのろ列車で五駅分
低く重たい歌とゆく]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>終業 - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/36443</link>
      <pubDate>Fri, 12 Sep 2025 00:36:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[陰蒼くして夕日時
同僚たちと会釈して
また明日　また明日
また明日と声を出す
また明日
やるせなく働き
また明日
上司の荷を分け合い
また明日
差し入れのお菓子を
食べましょう　では
また明日
]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>晩夏の朝 - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/36442</link>
      <pubDate>Fri, 12 Sep 2025 00:36:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[刈られた野原を目前に
立ちすくんでいる泡立草は
余裕の背筋でひるがおを吸う
ひるがおもまた気高く淡く
恍惚の笑みで最期を過ごす
私は　みんな枯れろと思った]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>夕雲 - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/36441</link>
      <pubDate>Fri, 12 Sep 2025 00:36:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[あの半月の浮く方に
終えた朝顔の花に似た、鈍い鴇色の雲がある
青から西をずっと見ている
頼りない尾の飛行機雲と
ソプラノのようなこがねの空を
うらやましそうにずっと見ている]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>詩の赤子 - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/36440</link>
      <pubDate>Fri, 12 Sep 2025 00:36:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[人間だろうと詩だろうと
赤子は人の目にとまる
小さく奇妙奇天烈で
不思議と目が離れなくなる

詩歌の赤子が育つ時
声なき喉は開かれる
野山に海に空に机に
不思議と叫びたくなってくる]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>隙間の落陽 - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/36439</link>
      <pubDate>Fri, 12 Sep 2025 00:36:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[低く黒い雲のあいだ
きっともっと高い空を
真横に一直線な雲が
するするする
音もなく
曲がることなく
どこかへ行こうとしている
命を終えた竜の骨を
烏が運んでいるのだろうか
どこかへ行きたい人の群れを
列車で運んでいるのだろうか
三日月の方に歩いていって
私もそこを眺めてみたい]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>令和7年の歌 - 短歌まとめ</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1800/section/33884</link>
      <pubDate>Sun, 27 Jul 2025 23:07:00 +0900</pubDate>
      <description>SNSで発表済みの短歌をまとめました。</description>
      <content:encoded><![CDATA[昨年はたいへんお世話になりました
今年もよろしくお願いします
　一月一日

夕空のパッキリと青。しかしなほ
だれひとりとて星置きもせず

文字のないロールカーテンの白練も
読後に淡く残る一頁
　一月十九日

ちり紙も猫も団子も柔らかい
けれど冬です北の如月
　二月一日

救急車とーふチャルメラ鳩カッコウ
子らの息吹はミニチュアの街
　二月二日

南国もザムボアの香も知らねども
白きはなびら指に伝わる
　二月五日

二又の片っぽ閉じた滑り台
遊びたさげな　かみさまがいる
　二月六日

誰彼も祈るばかりで動かない
跡を濁した｜彗《ほ》｜星《し》の欠片に
　二月七日

何年も左でペンを取ったのに
先に受話器を取る三年目
　二月八日

脳内を驚異の部屋にしたくって
唱えるロボク、ヘリコプリオン
　二月九日

テセウスの雪と果木を見送って
また先立たれる春が始まる
　二月十日

往く春の帰り待つ人う...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>仄かに - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/35331</link>
      <pubDate>Mon, 07 Jul 2025 22:56:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[仄か匂ふ
蝋燭のぼやけ
仄か匂ふ
蒼々と蒸れた草
仄か匂ふ
雀の遠き知らせ
仄か匂ふ
夜明け最後の冷たさ]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>お月様 - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/35330</link>
      <pubDate>Mon, 07 Jul 2025 22:55:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[やさしく白い満月の
なんとも惨い光りかた
救いあげそうな微笑みで
静かにまろく眠ってる]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>ムスカリの根元に - おもいつき</title>
      <link>https://yaits-sanctum.kashi-hondana.com/author/page/1516/section/35329</link>
      <pubDate>Mon, 07 Jul 2025 22:54:00 +0900</pubDate>
      <description>本当に、本当に思いつきの詩。</description>
      <content:encoded><![CDATA[ムスカリの根元に
お姫さまは眠るよ
あくびひとつしないで
霧の肌が眠るよ

ムスカリの根元に
お姫さまは眠るよ
長くさみしく包む
風の髪と眠るよ

ムスカリの根元に
お姫さまは眠るよ
鳥も蝶も知らない
昔々と眠るよ]]></content:encoded>
    </item>
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